1. 危険物の運送手続き
危険物の安全な運送を行うためには、運送される危険物がどのような危険性を有しているかを運送関係者に確実に伝達することが重要です。 従って、船舶で危険物を運送する場合には、輸送物及びコンテナには適切な“表示:Mark”、“標札:Label”及び“標識:Placard”を施し、 かつ、危険物運送書類には危険物に関する情報を正確に記載しなければ なりません。
なお、“表示”、“標札”及び“標識”は耐海水性が求められており、海 水に 3 ヶ月浸された場合でも消えるおそれのないものでなければなりま せん。(危険物運送書類については第 7 回で解説します。)
2. 輸送物への標札及び表示
輸送物には、原則として、収納されている危険物の危険性を示す“標札”及び正式品名、国連番号等の“表示”を外 部から見やすい場所に施さなければなりません。なお、危険物海上運送規則が要求しない商業用ラベル等によって、そ れらの視認性が損なわれることがあってはなりません。
一例として、引火性を有する塗料を収納したドラム缶に施す“標札”及び“表示”を図.5-1 に示します。“標札”は大 きさ及び様式が、また、国連番号はその文字高さが規定されています。正式品名の表示については、文字の寸法及び色は規定されていませんが、一定の距離から容易に視認できるものでなければなりません。
3. 輸送物のオーバーパック
輸送の利便性を目的とし、複数の輸送物をパレット上に集積したり一つの箱にまと めて収納したりすることによりユニット化されたものをオーバーパックと呼びます。 オーバーパックされたことにより各輸送物に施された“標札”及び“表示”が外部か ら容易に視認できない場合は、当該オーバーパックの外表面に輸送物と同様の“標札” 及び“表示”を施すことに加え、“OVERPACK”と表示しなければなりま せん。
4. コンテナへの標識と表示
危険物を収納しているコンテナには、原則として、危険物に対応した“標識”(標札を拡大したもの)を四側面 に付さなければなりません。また、一定の条件の下、“標識”に加えて“表示”を必要とする場合が あります。“標識”及び“表示”は、その様式、寸法、文字の色等が定められています。