メキシコおよびブラジルの貨物盗難の現状と傾向

メキシコ、ブラジルにおける貨物盗難は減少傾向にあるものの、依然としてリスクの高いエリアです。
調査会社 Sensitech 社が 2020 年に発生した貨物盗難を集計・分析した内容をもとにメキシコとブラジルにおける貨物盗難の現状と傾向、対策についてご紹介いたします。
 

1.メキシコ貨物盗難の現状

メキシコでは 2020 年に計 21,145 件の貨物盗難が報告されました。2019 年と比較して 9%の減少となりますが、これは新型コロナウイルスの蔓延により経済活動が停滞し、物流量が減少したことが原因と考えられます。

月平均では 1,762 件の貨物盗難が発生しており(1日当た り 63.4 件発生)、2019 年から 2020 年の間に件数が減少し たことを考慮しても、メキシコのリスクは最も高い「深刻」レ ベルにあると調査機関は判断しています。

貨物輸送の高リスク地域はメキシコ州、グアナファト州、プ エブラ州、ベラクルス州を中心としたメキシコの西部および 中部地域で、国内発生した貨物窃盗事件の 82%が集中して います。

貨物の種類別では、「飲食品」がトップとなり、全体の 47% を占めました。

2、メキシコ貨物盗難の発生過程・手口

21,145 件の貨物盗難の発生過程・場所の内訳としては、 輸送中(83%)、安全対策が不十分な駐車場(11%)、倉庫(4%)、ドライブイン/ガソリンスタンド(1%)、運送会社の敷地内等(1%)となっています。

手口で見ていくと、ハイジャック(81%)、抜荷(8%)、ハイジ ャック未遂(5%)、施設内での盗難(4%)、トラックごとの盗難 (2%)となっており、輸送中およびハイジャックが最も多いこと が分かりました。

また、日中の盗難率が高く、午前 6 時~午後 12 時と午後 12 時~午後 6 時の盗難率の合計が 62%となり、過半数 を超えています。

3.ブラジル貨物盗難の現状

ブラジルの貨物盗難は 2020 年も減少傾向にあります。 国内で最も盗難リスクの高いリオデジャネイロ州とサンパ ウロ州もこの傾向に沿っており、サンパウロ州では 2019 年の 7,315 件から 2020 年は 5,918 件と、年間 19%の減少 となりました。リオデジャネイロ州でも、前年比 33%の減少と なり、2020 年の年間件数は 4,979 件でした。

貨物の種類別では、「雑貨」がトップとなり、全体の 42%を占めました。他の貨物種類については、上記一覧表のとおり です。

4. ブラジル貨物盗難の発生過程・手口

貨物盗難の発生過程・場所の内訳としては、都市部の道路(58%)、高速道路(19%)、不明(12%)、ガソリンスタンド(5%)、 工場・倉庫内(3%)、目的地(2%)、その他(1%)となっています。また、手口で見ていくと、ハイジャック(91%)、ハイジャック未 遂(3%)、施設内での盗難(2%)、抜き荷(2%)、ドライバーによる盗難(2%)となっており、都市部の道路およびハイジャック が最も多いことが分かりました。

また、メキシコと同様、日中の盗難が多い(朝・昼合わせて 58%)ことも特徴の一つです。

5.現状の貨物盗難防止策

貨物盗難への対策としては、運送人に対する注意喚起などがあげられますが、以下にポイントを記載します。 なお、世界規模での感染再拡大に伴い、消毒液、石鹸、マスク、食料など必需品とされる商品に関しては、通常よりも標的 にされる恐れがあるため、下記のように盗難対策を強化する必要があります。

  • ✓  ドライバーが不審な人物や車両を目撃した場合は即時に運送会社へ報告するよう義務付ける

  • ✓  ローリスク地域に限り一時駐車を許可する

  • ✓  指定された輸送ルートから外れることを禁止する

  • ✓  安全な駐車場を探すための時間を確保する

  • ✓  短時間であってもトラックから離れない

  • ✓  商品を運ぶ貨物車両の整備を徹底する

  • ✓  輸送開始前 および 停車地点ごとに、トラック・トレーラー・コンテナシールの状態を確認し、幌を切られたり,、ド

    アが開けられたりしていないかをチェックする

  • ✓  搬入先の受入キャパシティや営業時間を確認する、輸送途中に到着予定時刻を連絡し、貨物をスムーズに搬

    入できるようにする