サウジアラビアが6月からATAカルネ制度導入

サウジアラビア商工会議所連盟(FSC) は、同国が世界ATAカルネ協議会 (WATAC)に加盟し、6月1日からATAカ ルネ(注)による商品一時輸入制度を正式 に導入することを発表した(4月25日付 「サウジ・ガゼット」)。

ATAカルネ制度は、指定された期間内に 輸出または再輸出することを条件に、関税、 税金、通関手続き時の支払い義務なしに、 最長1年間、貨物を一時的に輸入すること を許可するもの。一時輸入を認める物品の 範囲・条件は各国が定めることになってお り、サウジアラビアでは職業用具、商品見 本、展示会への出展物が対象に含まれる。

FSCはATA条約に従い、サウジアラビア から物品を一時的に外国に持ち込むに当た り、一時輸入制度の実施を担う。FSCが国 内の受益者にATAカルネ書類を発行し、受 益者は通常の税関手続きや手数料・税金の 支払いを必要とせずに、対象商品を一時的 に輸出、輸入できる。

<国際イベント開催を後押し>

サウジアラビアは2014年にATAカルネ 制度導入を試みたが、時期尚早として見 送った経緯がある。その後、サウジアラビ ア税関当局とFSCが覚書(MoU)を締結し、

準備を進めていた(2019年4月24日記事 参照)。今回のATAカルネの導入は、経済、 スポーツ、文化、観光事業の国際的な開催 地としてのサウジアラビアの地位を高め、 魅力的な投資環境づくりを掲げる国家改革 戦略「サウジ・ビジョン2030」の目標に 沿ったものだ。同国では2030年にサウジ アラビア国際博覧会、2034年にサッ カー・ワールドカップなどの大規模な国際 イベント開催が予定されており、貿易活動 の活発化やさまざまな経済分野の成長への プラスの影響が期待される。

(注)ATAカルネは、物品を他国へ一時的 に持ち込む場合、税関で免税・非課税扱い の一時輸入通関が手軽にできる通関書類で、 「物品のパスポート(Passport of goods)と呼ばれる。ATAカルネ制度は、 1963年7月に発効した「物品の一時輸入の ための通関手帳に関する通関条約」(通称 ATA条約)に基づく。世界貿易を促進し、 各国の異なる関税規制によって生じる貿易 障壁を軽減することを目的とする。

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