ボルチック海運評議会(BIMCO)が発表した9月のコンテナ輸送市場の概要と見通しによると、「2024年の需給バランスは2023年よりも強まるだろう」とし、紅
海危機で喜望峰経由の迂回ルートを利用するコンテナ船がいつスエズ経由に戻ることができるかは不明なため、多くの不確実性が残っていると分析している。
船 舶 供 給 量 は 今 年 が 10.3 % 、 来 年 は6.3%増加する一方、輸送需要は「船舶がスエズ運河に戻れば」今年は15.5%増加、2025年には5.5%減少すると予想する。
国際通貨基金(IMF)の予測を引用、世界経済は2024年に3.2%、2025年に3.3%成長が見込まれるが、世界の5大経済大国のうち、2023年と比較してより高い成長
が見込まれているのは欧州連合(EU)だけで、世界の製造業PMI(購買担当者景気指数)は依然として50前後で安定しているが、中国の新規輸出受注のPMIは過去4カ月で50を下回っていると指摘、米国の小売売上高はわずかに減少しているが、EUではわずかに増加している。紅海の混乱は、イエメンのフーシ派反政府勢力の攻撃によるもので、最大90%のコンテナ船が喜望峰経由による航行を余儀なくされ平均航海距離と船腹需要が10%増加した。
今年の新造船引き渡しは、昨年設定した記録を上回り、過去最高を更新すると予想、世界のコンテナ船隊は、2023年末から2025年末までに14.5%増加すると見込んでいる。
コンテナ輸送市場の概要と展望では、港湾の運営効率に影響を与える世界的な混乱 に も か かわ ら ず、 幸い な こ と に、 米 東岸・ガルフ諸港を麻痺させたであろう港湾労組による攻撃の脅威はほぼ即座に解決、新たな混乱は避けられた。BIMCOでは喜望峰経由の航海距離が長いため、航海速力がわずかに上昇、平均航海速力は2024年中は高いままだが、2025年には低下すると予想している。
2024年の成長予測は、2023年の3.3%をわずかに下回るだけで、地域の成長予測も23年と一致するが、2025年には地域の成長パターンがさらに大きく変化すると予想、輸送需要は2024年に4~5%、2025年に3~4%増加を予想している。今年1~6月のアジアから北米へのコンテナ荷動きは前年同期比14.7%増と急増した
理由として「2023年上半期が比較的低迷し、ピークシーズンの貨物が通常より早く出荷されたことも一因」としている。
ただ、下半期は荷動きが減少、上海から米国向けスポット運賃が7月初旬から9月中旬までに30%以上下落したことをあげ、第4四半期(10~12月)から2025年に向け、コンテナ船が通常のスエズ経由に戻れる場合は、さらなる運賃下落と定期用船料の下落が始まると予想する。
24年の需給均衡度高まるも、25年は低下 BIMCOがコンテナ輸送市場の概要と見通し