国際商業会議所(ICC)の国際海事局海賊報告センター(IMB PRC)がまとめた今年1~9月の海賊行為発生件数は79件で前年同期比20件減少し、1996年の統計開始以来過去最少となった。うち船内への侵入を伴うものが62隻、ハイジャックは6隻、未遂は9隻、火器で発砲を受けたもの2隻で、侵入をうけるケース自体は全体の86%に達し、ほとんどは夜間に発生している。
件数は減少しても依然凶悪性の高い事件が発生しており、一時人質にとられた船員は111人、誘拐に至ったのは11人、脅迫をうけたものが3人で、45件の事件で犯人が火器、刃物などで武装していた。
インドネシア地域では17件と、23年の12件、22年の9件から急増し、2月と9月には中部カリマンタン州で曳航中のバージが襲われ石油などが盗まれる事件も起きている。
西アフリカ、ギニア湾岸では12件と1994年以来最低となっているが、船員11人が誘拐され、21人が人質状態となるなど、依然危険性が高い状況となっている。
ソマリア沖、アデン湾では8件で、3隻がハイジャック、また2隻が銃撃を受けた。
シンガポール海峡では23件と前年同期比10件減少したが、犯人の96%は船内への侵入に成功している。IMBは、大型船でも低レベルの偶然の事件でさえ、航行のリスクを高める可能性があると警告している。
1~9月の海賊行為発生件数 96年以来最少の79件