長期運賃、世界的にじりじり上昇 Xenetaまとめ、紅海紛争が市場に不確実性をもたらす

貨物輸送市場情報プラットフォームのXeneta(ノルウェー)がまとめた4月の世界長期契約海上運賃指数、XSI(Xeneta Shipping Index、2017年1月=100)はXeneta154.3と、3月から1.7%上昇した。欧州の輸入XSIが、主に紅海で続いている紛争の影響により171.8と、前月比9.2%上昇し、2022年6月以来最大の上げ幅となった一方、米国の輸入XSIは前月比9.4%低下し150.6となり、また、4月のGlobal XSIは前月比で若干の上昇を示したが、前年同月比では依然として50.1%低下している。
 Xenetaでは、極東から地中海向けなどのスポット市場が前年同月と比較して依然として60%以上上昇していることを考えると、船社が不確実な市場での過剰船腹を恐れ、さらに高い長期運賃を要求すると予想する。
 長期運賃が上昇しているのは、2023年の最初の2カ月と比べ1月と2月の世界のコンテナ荷動き量が10.7%増加したこともあり、前月比で大幅上昇を記録した欧州の輸入XSIも前年同月比では34.2%低下している。
 2023年第2四半期(4~6月)以降、新造コンテナ船の引き渡しが四半期で記録的な高水準となっているが、喜望峰経由の迂回により多くの船腹が必要となるため、これまでのところ、紅海での紛争により船社は船腹過剰からほぼ守られていると分析している。
 ただ、状況が変化し、今後12カ月以内に紅海へのコンテナ船の大規模な復帰が見られる場合、船社は深刻な過剰船腹にさらされることになり、スポット市場のレートは急落する可能性が高いとみており、船社はより高い長期運賃を望んでいる一方では、長期的な物量を確保する必要もあり、予測不可能な市場でリスクと利益のバランスをとりながら、紙一重の境を歩んでいると指摘している。
 一方、米国の輸入XSIは150.6と、前月比9.4%低下しただけなく、前年同月の451.5と比べ67% も大幅に低下、2021年4月以来の最低水準で、多くの米国荷主の長期契約は4月から5月までとなっており、5月のXSIの数値で交渉の行方が明らかになるとしている。
 昨年12月の紅海での紛争激化を受け、極東発北米東岸向けのスポット運賃は、今年2月初旬のピークから33%低下、極東発北米西岸向けも31%低下しており、米国の荷主は、長期契約交渉中にXenetaのデータを利用し、軟化するスポット運賃を口実に、交渉の間に大幅な値引きを獲得、新長期契約は5月に有効になるため、5月にはXSIのさらなる動きが見られるとしている。