米ウォルマート、ドローンによる宅配サービスの 対象地域を拡大、6州400万世帯へ

米国小売り大手ウォルマートは5月24日、

ドローンによる宅配サービスの対象地域を フロリダ州やテキサス州(注1)などの全 米6州の400万世帯に拡大すると発表した。 2022年内に34カ所のドローン配送拠点を 設置する。これにより、年間100万個分の 荷物をドローンで配達する目標を掲げ、ラ ストワンマイル(注2)配送を強化する。

発表によると、ドローンの運航は、米 バージニア州に本社を置くスタートアップ 企業のドローンアップ(DroneUp)が手掛 ける。配達圏内に住む顧客はドローンアッ プなどのウェブサイトなどを通じて、食料 品や医薬品など数万点の対象商品から注文 し、最短30分で自宅に届けることが可能だ としている。米連邦航空局(FAA)のガイ ドラインに沿って、認定を受けたドローン アップのパイロットがドローンの飛行を監 視することで安全性を確保し、配送拠点で 梱包(こんぽう)した商品をドローンに積 み込み、顧客の自宅まで配送する仕組みと なっている。

米国ではドローンの商用化は徐々に進ん でおり、米グーグル親会社アルファベット が運営するドローン配送会社のウィング・ アビエーション(以下、ウィング)は、 2022年4月より大都市圏では同社初となる 商業サービスをテキサス州ダラス・フォー トワース都市圏で開始した。これまで米国、 オーストラリアや欧州の一部地域でサービ ス提供を開始しており、合計20万件以上の 配達を達成している。同社は薬局チェーン

大手ウォルグリーン・ブーツ・アライアン スと提携しており、顧客はウィングのド ローン配送アプリを利用し、市販薬や生活 必需品などおよそ100品目の中から注文を 行える。現在の対象地域は、ダラス市内か ら北に約30マイル(約48キロ)の距離に 位置するフリスコ市・リトルエルム地区で、 注文から配達まで通常10分以内で届けられ る。ウィングのアレクサ・デネット氏は、 「これは大きな前進であり、ドローン配送 がこの規模のコミュニティにとって非常に 有益な資産となることを初めて示してい る」「商品を注文するのがより速く便利に なっただけでなく、より安全かつ安価で、 より持続可能な方法で配達できるように なった」と述べた。

ドローン配達が一般に広く普及するには しばらく時間がかかると想定されているが、 同分野には大きな期待が寄せられる。米イ ンサイダー・インテリジェンスによると、 ドローン配達の市場規模は、2025年まで に636億ドルになると推定している。

(注1)対象地域は、アリゾナ、アーカン ソー、フロリダ、テキサス、ユタ、バージ ニアの6州。

(注2)物流拠点から個人宅までの物流 サービスにおける最終区間のことを指す。