米の相互関税、コンテナ船の需要に最も悪影響-KOBCが特別レポート

韓国の韓国海洋振興公社(KOBC)は11日、米国のトランプ政権による関税政策が海運業界に与える影響を分析した特別レポートをまとめた。中国を除くほとんどの国に対する相互関税措置を90日間猶予することを発表したことで、海運業界もひとまず安堵したものの、海上荷動きの大部分を占めている米中間の貿易摩擦が激化する中、海上輸送需要の減少が避けられず、中長期的には、貿易構造の変化によるグローバル海運市場の不確実性の深化で、収益貿易策のための対応戦略の多様化が必要と指摘している。
 分析の結果、コンテナ船の需要に最も大きな悪影響を予想、タンカーは原油、天然ガス、石油製品などが相互関税措置から除外され、需要の減少に直接的な影響はないと予想。また、相互関税措置とは関係なく、自動車運搬船(PCTC)は、自動車と部品に品目関税25%が課され、段階的な海上輸送需要の減少が避けられないとしている。
 コンテナ船は極東、欧州の荷動きは米国全体の輸入量の約80%以上を占め、今回の相互関税リスクに直接さらされ、物量減少は避けられず、関税賦課→荷主負担の増加→物価上昇→購買力低下→物量減少につながり、低価格品目の消費財と家電製品から影響が出始めることを予想している。
 90日間の猶予措置により、短期的に中国発の出荷は急減、その他の地域は米国向け貨物の増加の可能性が高まる。ただ、他国の物量増加分が既存の中国発の物量に及ばないと予想されるため、中国発北米向けが55%以上を占めることから運賃の下方圧力が増加、北米航路の不振は北東アジアのフィーダー需要の萎縮につながる可能性がある一方、関税回避用の迂回輸出の増加で中国~東南アジア間の需要増加を予想している。
 需要低迷に備え、船社は欠便、コンテナ船の転配、減速、係船などを通じて供給調整が拡大、需要不振が長期化する場合、北米航路から他航路(欧州、南米、アジアなど)へのコンテナ船の転配拡大、その他航路の供給負担の増加につながる可能性があると指摘する。
 また、供給調整に失敗した場合、船社間の競争激化で収益性が悪化、運賃防衛に成功したとしても、物量減少の余波で事業規模は前年比縮小する見込みで、中長期的には、市況の不確実性の拡大により、船社ポートフォリオの多様化に伴う航路構造の再編が重要になるとみている。
また、自動車・自動車部品は関税が最大25%となり、韓国、EU、英国、日本など自動車生産国の輸出に悪影響を及ぼし、関税賦課による輸出競争力の低下により、米州向け需要の減少や船社の収益性が低下、自動車品目関税の影響で自動車輸出国の経済に非常に大きな負担となる可能性がある。
 中長期的にエンデミック(地域流行)後のグローバル自動車販売好調により6,500台積みで20年に12,600ドル/日から24年に10,3,300ドル/日にまで急騰したPCTCの用船料が下落、新造船発注の減少を予想している。