滞留コンテナ新チャージについて解説

国際フレイトフォワーダーズ協会 (JIFFA)は28日、「ロサンゼルス港の現 状と展望」をテーマにウェビナーを開催し、 ロサンゼルス市港湾局のアシスタントダイレクターの森本政司氏が講演、同港湾局が 11月1日から荷主(BCO:Beneficial Cargo Owner)に対して、コンテナターミナルに9日以上滞留しているコンテナを対象に、1日当たり100ドルをチャージする新制度について解説した。

新チャージは、米政府のロサンゼルス (LA)、ロングビーチ(LB)港の操業時間 を24時間・年中無休体制で港湾ボトルネックの解消を図る方針をさらに実効あるものとするための措置で、森本氏によると、港湾局は現地時間29日に新たなチャージにつ いて正式発表する予定という。

チャージは1日目は100ドル/日だが、2 日目は200ドル/2日に1日目の100ドル/日 を加算し300ドル、3日目は600ドルと増えていく。森本氏は「収入を増やすという考えでは決してなく、政府の24時間操業体制を後押しして、滞留しているコンテナを動かそうという狙いだ」と強調した。特に、 同港湾局の資料によるとコンテナターミナ ルでは、ローカルの倉庫へのトラックによる搬出は平均5.4日、IPI(鉄道による遠距離輸送)については平均3.7日で搬出しており、通常であれば9日以上のペナルティ は「問題ないはず」と指摘している。

LA港やLB港は、日本港と違い、北米の アジアからのゲートポートとして、コンテ ナ船に積んだコンテナの約8割を揚げるた め、大型船だと荷役に3日半から4日を要す るとともに、コンテナを置くスペースも広 大なものになるとして、現在の沖待ちや混 雑の原因を説明した。

また米国のトラッカーは日本と違いシャシーを保有していないため、顧客がシャ シーを保持する期間(通常は3日以内)が 長くなりがちで、現状20’コンテナが平均8 日間、40’は9.3日間で、シャシー不足を招 いている。一方ドライバーも日本と違い会 社に雇われている運転手ではなく、インデ ペンデント(個人事業主)の契約ドライ バーが多いため、例えば夜にターミナルを オープンしてもなかなか人手が集まりにく いという事情や、倉庫が夜間開いていない ことも、24時間操業体制のネックとなって いる。また取り扱うコンテナ数量が能力を 超えて両港に集まっているのも滞留の大き な要因だと指摘する。両港での1日に荷役 できるコンテナ船は30隻に対して、10月 には沖待ちが100隻を超えた。港湾での労 働者不足という面もあるが、根本的には ターミナルの処理能力を超えた貨物量にあ る。米国ではバイデン大統領が13日に、両 港の24時間年中無休の操業を要請している が、夜間作業やコンテナターミナルでの混 雑解消が進まない状況からロサンゼルス市 港湾局では11月から新たな施策を開始する こととなった。