キール世界経済研究所(IfW)は9月6日、 貿易に関する指標(Kiel Trade Indicator、 注)を発表した。欧州の北海におけるコン テナ船の滞留状況が悪化しており、コンテ ナ輸送は高水準の混雑が継続している状況 が示された。
発表によると、出荷された全商品の約 11%が港湾で積み降ろしができずに滞留し ており、世界の貨物量の2%超に相当する 貨物が北海で滞留している。IfWが観測す る地域の中では、北海の渋滞状況が最も深 刻だという。ドイツの港湾への入港を待っ ているコンテナ船は19隻にのぼり、6月発 表の10隻(2022年6月22日記事参照)か ら増加している。
米国でも、サウスカロライナ州とジョー ジア州の沖合で待機中のコンテナ船が急増。 また、欧州とアジアを結ぶ海上貿易の最重 要ルートである紅海では、貨物出荷量が通 常時の16%減に落ち込んでいるという。
また、ハンブルグ港の8月17日発表によ ると、北海領域の主要4港〔アントワー プ・ブルージュ港(2021年2月22日記事 参照)、ロッテルダム港、ハンブルグ港、 ブレーメン港/ブレーマーハーフェン港〕 の1~6月のコンテナ取扱貨物量は、平均し て前年同期比4.6%減少した。一方、ハン ブルグ港は0.9%増となった。また、ロシ アによるウクライナ侵攻に伴う対ロシア制 裁の影響を受け、ハンブルク港とロシア間 の2022上半期のコンテナ取扱貨物量は前 年同期比で50.9%減となった。
IfWのビンセント・スタマー貿易政策担 当は「アジア発北欧向け、および北米西海 岸向け海上運賃は、年初来、コンテナ当た り1万4,000ドル超から、それぞれ4,000ド ル、8,000ドルに大幅に下落した。しかし、 港湾の混雑により、新型コロナ禍前の水準 への回復が妨げられている」と述べた。海 運大手ハパック・ロイド(本社:ドイツ・ ハンブルク)も、上半期決算のプレスリ リースで、一部のスポット運賃に軟化の兆 候が見られるとの見解を示している。