パナマ運河に水を供給するガトゥン湖の 水位低下により同運河の喫水制限が段階的 に強化、これによりアジアから米国向けの 輸送コストが上昇し米国のインフレ亢進に つながる可能性があると報じられている。
ガトゥン湖周辺では今年2~4月に季節的 な降雨がみられず、パナマ運河庁(ACP) はネオパナマックス閘門の通航船の喫水制 限を通常の50ft(15.24m)から段階的に 強化している。現在44.5ft(13.45m)で 今月13日から44ft(13.41m)、同25日か ら43.5ft(13.26m)への強化を決めてい るが、ACPではガトゥン湖の水位が7月31 日に78.2ft(23.86m)と過去5年間の同 月平均84.9ft(25.88m)を大きく下回り、 2016年5月に記録した過去最低の78.3ftを 下回ると予測、予測どおり水位が過去最低 の78.2ftに達する場合は最大喫水は43ft (13.1m)にまで制限する見込み。ACPに
よると今年5月は1950年以来の記録的な低 降水量で、最悪の場合、1日当たりの通航 可能隻数を現在の36隻から28~32隻に制 限する可能性もあり、喫水制限により貨物 が40%減少するとみる関係者もいる。一部 船社では既に6月1日発効でパナマ運河を経 由する貨物に500ドル/コンテナなどの サーチャージを導入、ガトゥン湖の水位が 低下し続け、8~9月に例年通りのピーク シーズンが起こった場合、アジアから米国 向け航路の運賃上昇と代替ルートの争奪戦 を引き起こし、他航路にも波及する見込み。 また輸送コストが20%増加すると約1年後 にインフレ率(%)が0.15pt上昇するとの データから、米国の現在のインフレ率 4.9%を2%に抑えこもうとする連邦準備制 度理事会(FRB)の取り組みにも影を落と すとみられている。