国際航空運送協会(IATA)の発表によると、世界の航空貨物需要(貨物トンキロ:CTK)は12月も前年同月比6.1%(国際貨物は7.0%)増と上昇曲線を描き続け17カ月連続のプラスとなった。通年では11.3%(同12.2%)増と2ケタの伸びで、量的にもパンデミック後の反動で急騰した21年を0.5%上回り過去最高を記録した。
需要の伸びにもっとも貢献したのはアジアの航空会社で全体の伸びの46.6%を占めた。続いて北米で23.6%と好調な経済を反映して前年同月から17.6ポイント上昇、3カ月連続で欧州を上回った。欧州は17.8%で前年同月比0.1%減とほぼ横ばい、続いて中東が7.6%で前年から4.5ポイント落ち込んだ。
12月のキャパシティは有効トンキロ(ACTK)ベースで3.7%(同5.2%)増、通年では7.4%(同9.6%)需要を下回り、その結果ロードファクターは1.0ポイント上昇して47.3%(同42.5%)と10カ月連続で前年同月の水準を上回り、通年では1.6ポイント増の45.9%(同51.3%)へと改善した。
貨物スペースのうち旅客機のベリーは6.5%増で45カ月連続の増加、貨物輸送に占めるシェアは53.9%と前年同月から0.7%上昇した。貨物専用機のスペースも3.8%増と9カ月連続で増えて全体の46.1%となった。通年ではベリーと貨物機の比率は54.8:45.2で前年の52.5:47.5からベリーが2.3ポイントシェアを伸ばした。
12月の貨物イールドは前年同月から6.6%上昇、19年の同月比では53.4%上昇した。IATAによると、eコマースやモーダルシフトによる2ケタの需要の伸びに加えて、アジア向け主要長距離路線の一部の空域規制でキャパシティが制限されたためイールドが例外的に上昇したもので、21~22年当時ほどではないものの19年の水準を39%上回った。
25年の貨物需要の見通しについては、石油価格が下降線をたどる一方で世界貿易は引き続き成長しており、良好な経済の基礎的条件を背景に5.8%増と IATAは予想しているが、米国のトランプ新政権による関税の政治的利用など、明らかになりつつある地政学的シフトへの対応も課題としてあげている。
IATA:世界の航空貨物量24年は過去最高 25年の需要5.8%増を予想