トランプ氏、ILAの立場支持表明 1月15日後のスト懸念が一段と高まる

米国のトランプ次期大統領は先週、港 湾の自動化を巡る米東岸・ガルフ諸港に おける港湾労使紛争で労組(ILA)の支持 を表明した。ILAと使用者団体(USMX) による旧協約の暫定延長期限である来年1 月15日を控え、労使交渉が港湾自動化問 題で暗礁に乗り上げるなか、トランプ氏 によるILAの支持表明でストライキの懸念 が一段と高まる見通しとなった。

トランプ氏は先週、ILA指導部と面談し たあと、自身のSNSへ投稿し、「私は自 動化について研究しており、知るべきこ とはほぼすべて知っている。自動化によ るコスト削減が米国の港湾労働者に引き 起こす悪影響を正当化できない」と指摘、 ILA会長のハロルド・ダゲット会長、デニ ス・ダゲット副会長と会談後に撮った写 真を公開した(写真)。

ILAは今年9月末の旧労働協約期限ま でに労使交渉が妥結しなかったことから、 10月1日から3日間のストを実施したあと、

USMXと6年間で62%の賃上げに合意する とともに、来年1月15日まで旧労働協約を 暫定的に延長し、荷役自動化など残りの基 本協約の問題を巡り交渉することになり、 11月中旬の労使交渉で、USMXが交渉途中 で新たな半自動化を導入する意向を示した ことで決裂、4日間予定していた交渉が2日 間で終わり、交渉は行き詰まり状態となっ ている。

労使交渉の争点は半自動化レール式ガン トリークレーン(RMB)で、ILAのダゲッ ト副会長は今月初めFacebookに投稿、半 自動システムが実際には95%自動化され、 コンテナ蔵置の最後の段階でのみ人の手が 必要なレベルに達していると主張。これに 対しUSMXは港湾産業の持続可能性を保障 するためには現代化が必要だと反論してい る一方、ILA/UAMXの労使紛争は労働問 題を越え国家安全保障領域まで広がってい る。