2020年11月以降、世界的なコンテナ不足が各国からの輸送費を押し上げ、結果的に各国輸出の阻害要因となっている。ジェトロの最近の各海外事務所からの報告によると、その影響はASEANやインドでもみられる。 例えば、インドネシアでは、中国から急増する輸出を背景とした世界的なコンテナ不足により、インドネシアの輸出入にも深刻な影響が及んでいるとする。同国経済は徐々に回復する中、輸出需要も拡大し、さらなる経済拡大が期待される中で、コンテナの確保の困難さやそれに伴うコンテナ運賃の価格高騰がさらなる輸出増加の阻害要因となっている。
フィリピンからの報告では、中国から米国向け輸出が増加する一方、「新型コロナウイルス禍」の影響で米国の輸出が滞って いるため、米国にコンテナが滞留している点も影響しているという。この状況は11月から急速に悪化しており、コンテナ不足の影響で海上輸送貨物の料金は通常の2~4倍に高騰、今後さらに上昇する恐れもある。 この影響で、タイやインドネシアからの部品輸入が滞り、在フィリピン日系企業は在庫でしのぎ切れない状況が生まれつつある。 また、ベトナムからの報告では、現地物流 業者は世界でのコンテナ不足は半年程度続 くのではないかとみているという。ベトナ ムの現地紙「ベトナム・ニュース」(12月 8日)は、船員の外国港での隔離義務もコンテナ不足に拍車をかけると指摘している。
コンテナだけでなく、船便をそもそも確保できないというより大きな問題もみられる。マレーシアからの報告によると、中国から欧米向けの輸出急増を背景に、上海など主要港から両地域向けの船便を中心に、 マレーシアを抜港するケースが頻発してい る。日本~マレーシア間の船便も中国経由 が多く、確保が難しい状況だ。在マレーシア日系製造業の中には、多くの部品を日本 から調達している会社もあり、部材確保にも影響が出ている。そのため、各社とも船会社の変更や航空便への変更など対応に苦 慮している。海上輸送コストは通常の3倍程度に跳ね上がり、全体の経費押上げにもなっている。マレーシアのベルナマ通信 (12月5日)によると、マレーシア全国荷 主協議会(MNSC)は5日、政府にコンテナ不足問題への介入を求めた。
インドでもコンテナ不足の問題が発生している。インドでは内需の停滞や中国との通商摩擦などから、輸入額が大幅に前年割れしていることが国内に流入するコンテナ不足の原因となっている。同国の4~10月 の輸入額は前年同期比36.3%減と大幅に減少している。その結果、コンテナ待ちの期間が大幅に拡大し、輸送コストも上昇する結果、輸出企業には大きな影響が及んでいるという。