個品危険物の安全な海上輸送について④ 危険物の容器包装

海上運送中の貨物火災事故の原因の多くは、故意又は過失にかかわらず、危険物として運送すべきものの申告を怠る“無申告”又は危険物の危険性を誤って申告する“誤申告”であると言われ、それらをなくすことは船舶の安全な航行に非常に重要です。
第 4 回目の今回は、危険物の容器包装、使用できる容器包装、容器の性能試験についてご紹介します。
 

1. 危険物の容器包装

危険物を収納する容器は、容量により小型容器、高圧容器、大型容器、IBC容器、ポータブルタンクの 5 種類に大別されます。最も運送頻度の高い容器は、小型容器であり、ドラム、袋、箱等がそれに該当します。小型容器に収納される危険物の重さの制限は、固体、液体共に 400 キログラムであり、さらに液体の場合は 450 リットルの容積制限 があります。なお、小型容器以外の容器についても、重さや容積の制限がそれぞれ規定されています。

 

2. 使用できる容器包装

危険物の収納に使用できる容器包装は、危険物リストの「容器及び包装」欄に記号(P001 等)で示されています。 この記号はパッキングインストラクション(以下「PI」)と呼ばれるものであり、各 PI には、容器の種類、材質、容量、使用上の注意事項等が規定されています。荷送人は、運送の目的に応じ、各エントリーに割り当てられる PI か ら使用が認められた容器包装を確認し、適当なものを選択しなければなりません。

 

3. 容器の性能試験

危険物を収納する容器包装は、原則として、規則が定めた性能試験と試験合格基準に基づき、安全性能が確保されたものでなければなりません。この性能試験と試験合格基準は、容器 の種類によってそれぞれ規定されており、液体用小型容器の場合、試験の種類は、「落下試験」、 「水圧試験」、「気密試験」及び「積重ね試験」の 4 種類、合格基準は、「内容物の漏れがない」、 「安全運送に支障をきたすと考えられる損傷がない」等です。合格基準を満たすことが確認 された容器包装には、その旨を示す表示「UN マーク」が付されます。

なお、「UNマーク」が付された容器包装であっても、安全運送に支障をきたすと考えられる損傷が確認されたもの、材質、厚さ等の変更があったもの等は、あらためて試験を受けなければなりません。